1.SDGsとは
2015年9月の国連サミットでSDGsと呼ばれる目標が採択された。これは、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標である。SDGsはSustainable Development Goalsの略称であり、持続可能な開発目標という意味である。
SDGsには、17の目標が設定されており、健康や教育に関するものから産業、環境に関するものまで幅広く、さらにこの17の目標を達成するための具体的な169のターゲットが構成されている。
2.廃プラスチックが問題となっている背景
そんな中、最近環境への配慮の一環として、「廃プラスチック」が問題となっている。スターバックスやマクドナルドが使い捨てのプラスチックストローの使用をやめるという発表を行い、世界的にプラスチックごみへの関心が高まったためだ。
プラスチックごみが問題になっている背景は、海に大量のプラスチックごみが漂流しており、生態系を含めた海洋環境や船舶航行、観光漁業、沿岸域居住環境への被害などが想定されているからである。実際に海岸にはビニール袋やプラスチック容器などの漂着が多く、また最近では、スクラブ化粧品などに含まれるマイクロプラスチックなども生態系に影響を及ぼすといわれている。
さらには、世界のプラスチックごみの受け口であった中国が2017年末にプラスチックごみの輸入を停止し、他のアジアの国々でも輸入停止を公表し始め、大量のプラスチックごみの行き場がなくなったことも問題になった大きな要因である。
3.日本における廃プラスチックの取り組み
日本では、プラスチックの資源循環について必ずしも他国と比べて進んでいるわけではなく、改めてこのタイミングでプラスチック資源循環戦略を作成するなどして、施策が進められている。具体的には、「第4次循環型社会形成推進基本計画」の中で、①使い捨てのプラスチック容器包装等の使用を削減する、②未利用プラスチックや使用済プラスチック資源を効果的・効率的に回収・再生利用する、③化石燃料由来プラスチックからバイオプラスチックへの代替促進等を推進していくとしている。
4.企業の取り組み
では、小売、サービス業ではどういった取り組みを行うことができるだろうか。環境省が行ったアンケート調査(環境省「プラスチックを取り巻く国内外の状況」)では、レジ袋の有料化や包装のノントレイ化・紙製包装化を進めるべきという意見が多い。また、その他の意見では、イベント会場等におけるリユース容器の使用、真衣ボトルなどが利用できる設備の拡大などの意見がある。
5.まとめ
大手企業でもペットボトル資源の循環に関する取り組みが進んでおり、コカコーラではペットボトルの素材をリサイクル素材、あるいは植物由来の素材の採用を推進することを発表している。また、ユニクロではプラスチック袋を廃止し、紙袋への切り替えを発表している。大手企業のこうした取り組みに合わせて、素材の供給側もプラスチック素材からの離脱が進み、低コストでリサイクル資源を利用することができることにもつながり、今後一層廃プラスチックの流れが加速していくものと思われる。中小企業においてもSDGsの一つの取り組みとして廃プラスチックへの取り組みをぜひ進めていってほしいところだ。